2024年、「傾けるだけで演奏できる」楽器を作りました。名前は sound chakram(サウンドチャクラム)。SonyのボードコンピュータSPRESENSEと3軸ジャイロセンサーを使った、いわゆる「ゆる楽器」です。この作品は後に Maker Faire Kyoto 2024 に「ファイブスペース」名義で出展しました。

なぜ「ゆる楽器」なのか
世の中には数多の楽器がありますが、そのほとんどは多くの練習を必要とします。障がいのある方や楽器に馴染みのない人にとって、演奏は「難しいもの」「自分には縁のないもの」になりがちです。
より多くの人に先入観なく楽器に触れてほしい。演奏そのものの楽しさを知って、音楽に興味を持ってほしい——そんな思いから、「単純な動作で演奏ができて、触ってみるとなんとなく楽しい」をコンセプトに、この楽器を作りました。
開発は、障がいのある2名のお子さんとそのご家族をパートナーとして、フィードバックをいただきながら進めています。
「ゆる楽器」とは、世界ゆるミュージック協会が定めた言葉で、「人が楽器をやらない理由をなくす新しい楽器」「誰もがすぐに演奏・合奏できる楽器」のこと。
演奏方法は「傾ける」だけ
グリップを握って、手首を右か左に曲げる。それだけです。握ることが難しい人は、チャクラムを固定した物体ごと傾けても演奏できます。
傾きに応じて「ド〜シ」の1オクターブが鳴り、音が鳴った瞬間に「ド=赤」「レ=オレンジ」……と、外周のLEDテープが虹色に発光します。自分の動きと、音と、光が対応している——この「演奏している感」を大切にしました。
しくみ
中身はSPRESENSEメインボード+拡張ボード+3軸加速度・ジャイロセンサー。傾き角度を30度ごとに区切って音階に割り当て、音階が変化した瞬間にビープ音を鳴らし、同時にWS2812BのLEDテープ(144灯)を発光させています。音も光も約1秒かけてフェードアウトします。
本体の外周は、百均のタンバリン。軽くて柔らかくLEDテープを這わせやすい、最高の素材でした。
パートナーからのフィードバック
「ぎゅっと握ったままで使えるのが良い」「自分の動きと音・光が対応していて演奏感がある」という嬉しい声をもらった一方、「色々な音色を出せるとよい」「グリップの形を変えられると、もっと多くの人が使えそう」「軽量化してほしい」という課題ももらいました。
そして、Maker Faire Kyoto 2024へ
この作品は「ファイブスペース」名義で Maker Faire Kyoto 2024 に出展しました。老若男女、たくさんの人が「なにこれ?」と手に取って、傾けて、同じフィールドで演奏する——あの光景こそが、この楽器を作った理由そのものだったと思います。
音のとどく範囲を、これからも広げていきます。
制作過程の詳細・回路・ソースコード(MITライセンス)は、elchikaの元記事で全文公開しています。
▶ Spresenseと3軸ジャイロセンサーを使った、チャクラム型ゆる楽器「sound chakram」(elchika)
